★読書感想文っぽい
著：岩本隆雄『星虫』

　『星虫』は、1989年に第1回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作に選ばれ、翌年に新潮社から単行本で発売したSF小説であり、岩本隆雄さんのデビュー作です。今回読んだのは、加筆修正され朝日ソノラマ文庫から発売した新装版の方。新潮社版を読んだことがないので、内容に何が違うのか判りませんが、少なくとも小物は現代風になったと言えましょう。いやむしろ、『星虫』に書かれた世界観（の一部）が、現在に上手く重なってきたというべきでしょうか。故に、今の時代だからこそ、すごく物語の中に入りやすくて読みやすかったです。主人公の友美が、額に付いた星虫を通して“地球の声”を聞き、人間と星虫の共生関係を人間と地球に置き換えて考えるのも、“今”だから理解が出来ます。
　あと、最後の方で吉田秋緒が余命幾ばくもないことを告白するけど、これはちょっと唐突過ぎて蛇足な気がします。

追記
　あとがきに書いてあった「ラストの言葉も安室ちゃんに歌われてしまいました」って、もしかして安室奈美恵の『Chase the Chance』のことかな？