★一口読書感想　水月郁見『イグドラジル -界梯樹-　II』
　この『イグドラジル -界梯樹-』第2巻の内容をたった1行で、的確に伝える魔法の言葉を私は知っています。

ガンダム大地に立つ！（Bパート）

　前回のあとがきで、

　これには異世界の守護騎とか、〈螺旋〉の騎士とか次の巻では怪獣まで登場する可能性がありますが、あくまで骨子は、『弓削稜と藍羽真珠が出会って仲良くなるまでの話』です。
　つまり、恋愛小説の一種なわけです。
水月郁見『イグドラジル -界梯樹-』より

　と著者の水月郁見さんは語っていましたが、今回のあらすじにあるように、

　――妹を、頼む 　白銀の男ヴェズレーに託された弓削稜だが、真珠は黒衣の騎士ビル・アケムに奪われてしまう！
　そして海上では、空母〈インディペンデンス〉、イージス艦〈こんごう〉やF14と黒いヒト型――シュエダゴンとの戦闘がはじまっていた……。
　一方、幕張地区はミルソーティア徴税軍により制圧されてしまい、真珠が歌っていたイベントホールは、今や〈遺物〉を採掘するためのクレーターとなっていた……。
『起つ騎士を称えよ』
　ミルソーティア徴税軍に囲まれた、絶体絶命の時、稜の蒼い螺旋が航次元守護騎を呼び起こす！
水月郁見『イグドラジル -界梯樹-　II』より

　もはや〈恋愛小説〉などという言葉はどこ吹く風です。ミルソーティア徴税軍の守護騎〈シュエダゴン〉に完膚無きまでに潰される国連海軍の護衛艦〈こんごう〉と空母〈インディペンデンス〉。守護騎に対して無謀な格闘戦を挑む弓削祥子とサラ・セルフリッジのF14J。異世界の占領軍（ミルソーティア徴税軍）が幕張を跋扈しているにも拘わらず、〈大規模テロ〉と判断し警察を派遣し（しかも全滅）、激しい通信障害のため状況を把握できず〈防衛出動要請〉が出せない日本政府。ミルソーティア徴税軍の人間狩り（マンハンティング）から必死に逃げる弓削稜と弓削祥子。「君は、生きのびることが出来るか」という言葉がお似合いなほど、今回の物語は最初から最後までクライマックスだぜ。
　読みどころは、ミルソーティア徴税軍司令官、公爵ゴルデナー・ヒルシュの演説です。徴税軍は、捕らえた市民をクレーターとなった幕張のコンサート会場に集め、隠された守護騎〈イグドラジル〉の発掘作業にこき使っていました。手を休める者を叩きのめし、逆らう者は殺します。奴隷のように。その時、上空に初老の男の姿が浮かび上がりました。

『ミルソーティア徴税軍の兵たちよ』
（中略）
『兵たちよ。まずは緒戦の勝利を、称えよう。総員、見事な働きであった。また探し求めていた〈遺物〉を、かようにも素早く見つけ出し確保したこと。これは、いかようにも褒められても褒め過ぎではない。よくやった』
（中略）
『兵たちよ。しかしなおも我は、お前たちに期待をせねばならぬ。お前たちの使命は、もう言うまでもない。この〈青界〉を、元の『あるべき姿』に戻すことである。この〈界〉の領民どもに、誰が自分たちの主人であるのか。それを思い出させ、再び我がミルソーティアの隷従を誓わせ、もっと四〇〇〇年間滞納されている植民地税をすべて取ることである』
（中略）
『見よ、お前たちが制圧した、この群落の景観を』
（中略）
『思い出すがよい、かつて多次元宇宙を襲った〈大接触〉の災禍以来。四〇〇〇年の永きに渡り次元回廊は寸断され、〈界梯樹〉の七つの〈界〉は、ミルソーティアより隔絶され、放置されて来た。ノワルステラの産出せぬミルソーティア以外の〈界〉では、他の原始的な手段により動力源を勝手に確保し、植民地領民どもが勝手に集落を運営して来たことが、調査により判明している。
　だが今日、ヴォルテックス・ポンプの開発成功により、我が徴税艦隊が再び七つすべての〈界〉を統制するときがやってきた。お前たちの任務は重大である。見よ、この集落の景観を。これは、我が首都カーンにも匹敵する繁栄ぶりである』
（中略）
『この繁栄は、なぜか。植民地領民どもの分際で、なぜこのようなことが可能だったのか。答えは一つである。ここ〈青界〉の領民どもは、四〇〇〇年の間、我がミルソーティアに税金を払っていないからである！』
（中略）
『四〇〇〇年もの間、税金を払わずにおれば、植民地領民どもが財をため込み繁栄するのは、当たり前である！
　次元回廊の断絶は、理由にならぬ。ミルソーティアに納めるその日のために取っておくべき財を、自分たちのために勝手に使い、勝手に繁栄するなど実に許しがたい。主人である我々に隠れ、納税すべき財を私物化し、勝手に繁栄するなど究極の罪悪。見よ、お前たちの周囲にある建物を。施設を。これらはすべて、本来我々に納めるべき植民地税によって造られたものである。全部、本来、我々のものである！』
（中略）
『新たに決した〈制服府大方針〉を伝える』
（中略）
『わがミルソーティア徴税軍は、〈界梯樹〉七つの界の一つ・〈青界〉に対し、四〇〇〇年間に及ぶ植民地税滞納を重く見て『重責処分』を課すことに決定した。
　わが軍は、〈青界〉に対し、四〇〇〇年分の滞納税を速やかに上納させると共に、制服府徴税罰則に基づき、〈青界〉全領民を向こう五〇〇年の強制労働の刑に服させる。この界の領民どもは、四〇〇〇年もミルソーティアに税を払わなかった重罪人である。領民どもは一人残らず、ただちにすべての資産・富をミルソーティア徴税軍にありがたく徴収された上で、向こう五〇〇年間、奴隷として働かなくてはならない。〈大接触〉という災害で次元回廊が寸断したことは、税を延滞する正当な理由にはならない。この措置を円滑に遂行するため、まず、慣例に基づき、見せしめを行う！』
（中略）
『見せしめは』
（中略）
『徴税軍の全戦力を投入し、行う。一両日の間に、ヴォルテックス・ポンプを介してミルソーティア本国より翔空艦一〇〇隻、シュエダゴン三〇〇〇機を送り込み、この占領拠点を中心に半径一〇〇クード以内の区域に居留する全領民を、皆殺しにする！』
（中略）
『勇士たちよ。もとよりこの弧状列島は、本来わがヒルシュ家が制服府より統治委託を受けた荘園である。この列島の上に存在するものは、虫一匹の生命に至るまで本来、我がヒルシュ公爵家のものである。反攻する者は許さぬ。勝手に住んでいる者は、すべて不法占拠者である。殺されて当然である！　全〈青界〉領民は、今回の見せしめを目にし、いったい誰が自分たちの主人なのか、誰に服従すべきなのか、〈大接触〉以来四〇〇〇年の間に忘れてしまった最も大事なことを思い出すであろう。そして、新たにミルソーティア制服府に忠誠を誓い、我々徴税軍に対し臣下の令を取り、進んで納税をするようになるであろう』
（中略）
『立て、徴税軍の勇士たちよ。今こそ、我がミルソーティアの力を全〈界梯樹〉に示せ。逆らう者は殺せ。我々は唯一宇宙一のミルソーティア徴税軍である。この宇宙で息をしているすべての者は、我々に納税をしなくてはならぬ。逆らう者は、死あるのみである！』
水月郁見『イグドラジル -界梯樹-　II』より

　ミルソーティア徴税軍とは、その名の通り税金を取り立てるための軍隊です。彼らにとって税金を払わない人民は、虫けら以下の存在なのです。この理不尽さと容赦のなさこそが、水月（夏見）節の醍醐味です。

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著：水月郁見『イグドラジル -界梯樹-』

　当たり前ですが、『イグドラジル -界梯樹-　II』を読み前に必ず第1巻を読んでください。第2巻の始まりは、「承前」になっているので。ハードカバーの文庫落ち以外で、ライトノベルの巻の始まりを「承前」にしたのを初めて見ました。

　★レオパルドが釣られた「ミラー泥棒のまとめサイト」は実在する
　『宇宙をかける少女』第11話で、レオパルドの一人ラジオに届いたEメールは、ミラー泥棒の犯人をレオパルド決めつけたものでした。そのEメールの最後に書いてあった「ミラー泥棒のまとめサイト」のURL「http://www.sorakake.net/benkei/」にアクセスしたレオパルドは、案の定“釣られた”ことに激怒したワケですが、このURL、やっぱり実際にアクセスできました。

ミラー泥棒のまとめサイト

「こんなのに釣られるレオパルドって（笑」と心で笑っていたけど、今この瞬間にも多くの『宇宙かけ』視聴者が“釣られている”ことに、ふと気付くのでした。

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　★リアル『アイドルマスター XENOGLOSSIA』？　月崩壊のシミュレーションをドラマ化した『ムーン・パニック』
　今日、NHKのBShiで放送したハイビジョン特集 フロンティア 『ムーン・パニック』が、『アイドルマスター XENOGLOSSIA』における〈ロストアルテミス〉のような月の崩壊をシミュレートしたドラマだったらしいです。

579 ：名無しさん＠お腹いっぱい。：2009/03/16(月) 23:46:45 ID:vxAa42Lu
BShiでおもしろいのやってる。
「ムーン・パニック」前編だって。
もし天体が月に衝突したら？　月の破片が地球を襲い、電磁波に異常が生じ、
引力がなくなる事態まで起きた。さらに、軌道を変えた月は地球に向けて動き
出した…。後編では、人類はこの危機を乗り越えようと最後のミッションに打って
出る！　壮大なスケールで描き出す科学シミュレーションドラマ。

後編はは3月17日（火）

580 ：名無しさん＠お腹いっぱい。：2009/03/17(火) 01:01:34 ID:Spzd6rys
まんまじゃねえかｗ
人型ロボットまで出たらおかしいｗｗ
BShiみれねえ…

581 ：名無しさん＠お腹いっぱい。：2009/03/17(火) 01:13:25 ID:3bJFOfQc
うわ、マジか、もっと早く気付いてたら見てたのにorz
アイドルマスターXENOGLOSSIA 復興暦97年

　私も気が付かなかったよ、こんちきしょう。後編は絶対に見てやるんだからっ。

　★今日のweb拍手レス
＞9:08 ノリさん確変過ぎ。長距離人気薄の馬なら喜んで買えそうですね。
＞まあ前走を見るに2getの呪いもロジユニならなんとか……。
　その前にスクリーンヒーローとアーバニティが、奇跡を起こすぜ。
＞キストゥヘヴンよりピンカメにびっくり。ちょっと渋らないと走らないのかな？
　そういえば、ピンクカメオがNHKマイルカップを勝った時も、馬場状態は稍重でしたね。
＞漬物石はさすがですね。ミクロコスモス、抽選で通ればいいですが。
　抽選に通っても鞍上が“漬物石”じゃなあ……。

　★ディズニーの隠し球『ファイアボール』が段々本気を出してきた件
　ディズニーの3DCGアニメで、昨年から星雲賞候補と言い続けてきた『ファイアボール』が、公式サイトをリニューアルし、「ファイアボール公式ブログ」、略して「イボログ」を始めました。ブログのロゴデザインが、如何にもディズニーな感じで良いですね。
　今年は、マックスファクトリーから『figma ドロッセル』が6月に発売し、ねんどろいども出る予定です。放送開始からまもなく1年、やっと本格的に商品展開を開始です。あとは、ディズニーストアとディズニーランドで売れば完璧です。

関連リンク
第263回「東京国際アニメフェア2009レポ！グッドスマイルカンパニー『ねんどろいど リアンノン』、マックスファクトリー『figma 孫策伯符』とか！」(シマゾウ・レポート)

　★今日までの『ファイナルファンタジーX』〜雷平原
　現在も雷平原の雷避けチャレンジ中です。やっと100回の大台を超えました。テンポ良くできるようになったポイントは、数を数えるのを止めて時計だけ見るようにしたことです。攻略サイトや2ちゃんねるの過去ログを見てみたら20分〜30分で200回に到達するらしいので、チラチラと時計を見るだけにしてフラッシュのタイミングに意識を集中したら飛躍的に回数が上がりました。
　それから、リュックに攻撃力スフィアを使って補強したらティーダより強くなりました。よって現在ユウナとルールーを除けば、ティーダがパーティ最弱のキャラに（苦笑

　★IE8を起動して判ったこと
　先日インストールしたInternet Explorer 8が候補版から正式版にアップデートしたのを機会に、今までSleipnir経由で使っていたIE8を初めてちゃんと起動しました。このAngel Heart ClubのIE8での表示は、当然全く問題なかったのですが、ハイパーリンクをクリックすると「新しいタブ」ではなく「新しいウィンドウ」で表示される問題が発生。このwebサイトに埋め込んである<base target="_blank">は、そのページ上のハイパーリンクを全て別ウィンドウで表示するタグなのですが、IE8がブラウザとして正しく解釈しているので新しいタブで表示してくれないようなのです。しょうがないので、コレを回避するために以下のように設定を変えました。

インターネット・オプション
↓
タブ「設定」
↓
ポップアップの発生時「常に新しいタブでポップアップを開く」をチェック

　これで、<base target="_blank">のタグを入れてもきちんと新しいタブで表示されます。

　★一口読書感想　あさのますみ『ウルは空色魔女　1　はじめての魔法クッキー』
著：あさのますみ『ウルは空色魔女　1　はじめての魔法クッキー』（Amazonリンク）

　ドゥール魔法学院5年生たちの旅だつ日がやってきた。そのうちの1人、空色魔女のウルは、おない年の女の子・ちさとの家で修行することになって、おおはりきり。だけどウルがつかえるのは「ものを甘くする魔法」たったひとつなんだって。これでどうやって経験値をかせいでレベルアップすればいいの？　みんなをハッピーにするスィート♥マジカルコメディはじまるよ！
あさのますみ『ウルは空色魔女　1　はじめての魔法クッキー』より

　〈味を甘くする魔法〉以外に使えないウルが夕焼け魔女になるためには、とにかく一つの魔法を極めて人の役に立たないといけません。ちさとの協力でアレンジや加減が出来るようになったけど、ウルは自分の魔法が何の役に立っているのか、夕焼け魔女になれない理由に悩みます。ウルが自分にだけ出来ること。それは、意外と身近なところにあったのです。
　一方、居候先の女の子ちさとは、お店のケーキを全て一人で作っているパティシエのパパを楽させるために、こっそりクッキー作りの練習をしていました。パパがクッキーを作っている様子を見て記録したノートを見ながら作っても、なかなか思った味になりません。ちさとのクッキーには何が足りないのか？
　目標のためにお互い努力し、支え合う姿は、とても輝いて見えるんです。大人になった今読むと、その輝きが心地よく、そして物語のクライマックスでは、不覚にも泣きそうになりました。よく、「疲れた時に甘いものを食べると良い」と言いますが、この小説は精神的に疲れた時に読んだら、不思議と癒されるというか幸せになれる感じがします。
　アレ的な考え方で読むと、ちさとは恭介の幼なじみ、春日野さんは恭介が好き、というポジションで親密度もアドバンテージがあるはずなのに、初っぱなからウル×恭介フラグ立ちまくり件。女性が男性を名前で呼び捨てにする時は、特別な感情があるってことなんですよ。ウル×ちさとは不動ですけどね。
「アマアマ・キューン！」