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アンジェリーク

スーパーファミコン・セガサターン・プレイステーション/光栄/1994年9月23日/9,800円

アンジェリーク プレミアムBOX

スーパーファミコン/光栄/1995年12月8日/9,800円
ゲームジャンル:育成&恋愛シミュレーション
ゲーム評価:◎
ストーリー:現女王の力が衰えたために崩れ始めた宇宙の均衡を再び元に戻すため、新たに行うことにした女王選出試験。 女王候補に選ばれたのは、王立スモルニィ女学園から2名。 見た目普通の女の子アンジェリーク・リモージュと女学園の才女ロザリア・カタルヘナ。 全宇宙の未来を賭けた長い試験が始まる。

 1995年11月。
 当時文化放送で放送していたラジオ番組の影響で、9割9分買うつもりでいた『ときめきメモリアル』を断念するのに然したる苦労はなかった。
 あるゲーム雑誌に載っていた一本のシミュレーションゲーム『アンジェリーク』に出会ったからだ。
 恋愛シミュレーションゲーム華やかなりし頃。ほとんど男性のみをターゲットにしていたこのジャンルに、初めて女性をターゲットにしたゲームが発売されていたのだ。
 全くノーチェックだった私は、その斬新さに衝撃を受けた。こんなゲームがあったのか、と。
 翌月、限定版である『アンジェリーク プレミアムBOX』を買うのに何の迷いもなかった。
 プレーしてみて最初に思ったのは、その取っ付き易さ。
 メインターゲットが女性であることから操作も出来るだけ簡単になっている。シミュレーションゲームにしてはパラメーターも少なく、恋愛に必要な数値は親密度と相性だけ。
 これは、恋愛シミュレーションとして一切の無駄を排除した結果といえる。
 だが、ゲームの目的は、未知の大陸を育成し女王選出試験に合格すること。
 つまり、女王になることが本来の目的なのだ。
 当然、好きな守護聖と結ばれることと女王なることは両立できないので、最終的にはどちらか1つを選ばなくてならない。
 現実に例えるならこうだ。

 大手広告代理店の男が、休みの土曜日に好きな彼女とデートの約束。
 高校の同級生で当時片思いだった。
 たまたま合コンで再会し、久しぶりに見た彼女は、他人が見てもいい女になっていた。
 綿密立てたデートプラン。
 彼女が、とても見たがっていた舞台のチケットも手に入れた。
 最初のデートだ。失敗は……許されない。
 その時、上司からこんな事を言われた。
「先方から連絡があってねえ、契約の件で詳しい話を聞きたいから今度の土曜に○○の方にきて欲しいそうだ。うちとしては○億円のビッグプロジェクトだ。休まないでくれたまえよ」
 はあ? それ以外、言葉を失った。
 そのプロジェクトは、国内シェアナンバーワンのゲーム機メーカーとの契約で成功すれば相当な利益になる。
 まさに社運が掛かっていると言って良い。
 一瞬こう考えた。 「同僚に任せれば……」  確かに彼は、自分の右腕としてプロジェクトの全容を全て把握している。
 でも、任せられるわけがなかった。
 なぜなら、自分がプロジェクトリーダーだからだ。
 休めるわけが無いじゃないか……。
 しかし、デートはどうする?
 一回目のデートをすっぽかすということは、もう会う気はないよ、とイコールだ。
 デートの約束した時、彼女のあの嬉しそうな笑顔が頭を過ぎる。
 自分にとって一世一代のチャンスが同時に訪れた。
 だが、選べるのはどちらか1つ。
 恋愛を選ぶか、仕事を選ぶか。

 まあ、ゲームではそこまで崖っぷちに選択はない。
 ましてや、このような選択を迫られた場合、理性ある人間ならどちらを選ぶか決まっている。
 アンジェリークの面白さは、女王になるという目的の達成する中で守護聖と恋をし最終的にどちらを選ぶか、なのである。

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