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バーナード・ワイズマンの遺言(小説版)

 アル……。よく聞いてくれ。
 おまえがこのビデオを見ている頃、オレは多分、この世にはいないと思う。これは、アル伍長への、最後の命令だ。おまえに渡した包みの中には、オレの証言を収めたテープや、証拠の品が入っている。このコロニーが、核ミサイルの目標になったわけを、オレの知る限り納めた。
 もし、クリスマス作戦が失敗したら、これを、警察か、軍に届けてくれ。オトナが本当だと信じてくれたら、このコロニーは救われると思う。オレからの、クリスマス・プレゼントというわけだ。
 オレが自分で届けようと思ったんだが……悲しいけど、オレはジオン軍人なんだよな。やっぱり“できそこない”を、この手で討ち取ってやりたい。そう思う。別に“できそこない”のパイロットが憎いとか、連邦を倒さなきゃいけないとか、そんなんじゃないんだ。ただ、オレを逃がしてくれた隊長たちに、軍人として、少しでも近づきたいって……。わかってもらえるかな? アル……。
 アル。オレはたぶん死ぬだろうが……そのことで、連邦軍の兵士や、“できそこない”のパイロットを恨んだりしないでくれ。彼等だって、オレと同じで、自分がやらなければいけないことを、やっているだけなんだ。これはオレの、最後の頼みだ……。
 もし、運良く生き延びて、戦争が終わったらさ。必ず、このコロニーに帰ってくるよ。おまえに逢いにくる。約束だ。
 じゃあな、アル。元気で暮らせよ。クリスによろしくな。
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