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クワトロ・バジーナ演説(TVA版)

 議会の方と、このテレビを見ている連邦国国民の方には、突然の無礼を許していただきたい。
 私はエゥーゴのクワトロ・バジーナ大尉であります。話の前に、もう一つ知っておいて貰いたいことがあります。
 私はかつて、シャア・アズナブルという名で、呼ばれたこともある男だ。
 私はこの場を借りて、ジオンの遺志を継ぐ者として語りたい。もちろん、ジオン公国のシャアとしてではなく、ジオン・ダイクンの子としてである。ジオン・ダイクンの遺志はザビ家のような欲望に根ざしたものではない。ジオン・ダイクンがジオン公国をつくったのではない。現在、ティターンズが地球連邦軍を我が物にしている事実は、ザビ家のやり方より悪質であると気付く。
 人が宇宙に出たのは、地球が人間の重みで沈むのを避けるためだ。そして、宇宙に出た人類は、その生活圏を拡大したことによって、人類そのものの力を身につけたと誤解をして、ザビ家のような勢力をのさばらせてしまった歴史を持つ。それは不幸だ。もう、その歴史を繰り返してはならない。
 宇宙に出ることによって、人間はその能力を拡げることができると、何故信じられないのか。我々は地球を人の手で汚すなと言っている。ティターンズは、地球に魂を引かれた人々の集まりで、地球を食い潰そうとしているのだ。
 人は、長い間、この地球という揺りかごの中で戯れてきた。しかし、時はすでに、人類を地球から巣立たせる時が来たのだ。その期に至って、何故、人類同士が戦い、地球を汚染しなければならないのだ。地球を自然の揺りかごの中に戻し、人間は宇宙で自立しなければ、地球は、水の惑星ではなくなるのだ。
 このダカールさえ、砂漠に飲み込まれようとしている。それほどに地球は疲れ切っている。
 今、誰もがこの美しい地球を残したいと考えている。ならば、自分の欲求を果たすためだけに、地球に寄生虫のようにへばりついていて良いわけがない。
 現にティターンズは、このような時に戦闘を仕掛けてくる。見るがいい、この暴虐な行為を! 彼らはかつての地球連邦軍から膨れ上がり、逆らう者は全てを悪と称しているが、それこそが悪であり、人類を衰退させていると言い切れる。
 テレビをご覧の方々は、お判りになるはずだ。これがティターンズのやり方なのです。我々が、議会を武力で制圧したのも悪いのです。しかし、ティターンズは、この議会に自分たちの味方となる議員がいるにもかかわらず、破壊しようとしている。
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