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マリア・ピァ・アーモニア『ザンスカール建国宣言』

 この宇宙に対して、人が特別であるということはありません。
 けれど、私たち地球に住むべきはずの人類は、道を踏み外して、今は、宇宙に住んでいます。これは、科学の勝利ではなく、外道なのです。犬や猫以下の道を選んだということです。
 何故こんなことになったでしょう? 私たちは、自分たちだけの正義で真理に目を奪われて、今だけの便利さと豊かさのために科学技術という道具を使いすぎたのです。
 しかし、長い時間で見れば、あの太陽が死に絶えるまでに、私たちは、新しい銀河に旅立つ技術を開発し、生物として進化するために、知恵を使わなければなりません。
 それまでは、私たちは、与えられたこの太陽系の中で、健やかに暮らしを続けなければなりません。
 すこやか、ということは、生物として当たり前の暮らしを続けるということです。
 女性と男性がいて、まぐわい、娘を成し、それを育てる。それ以外のことは、してはならないのです。
 にもかかわらず、わたくしたち人類は、母が子を産む痛みまで恐れて、出産の出血さえも嫌い、陣痛さえも忌み嫌う生物になってしまったのです。
 生物は、もともと出産を終われば、旧世代は絶えていったものです。
 その生物の摂理を恐れ、回避したのが人類でした。
 わたくしマリアが、ギロチンを擁護せざるを得ないのは、あの刃の下に流れる血の色を見ることによって、生物の摂理にのっとった生き方をしなければならないと思い出して欲しかったのです。
 生物は、血を流すものです。
 死んでいくものなのです。そして、生きるものなのです。
 生だけのある生物は、どこにも存在しないのです。
 わたくしたちは、そのように肉と魂を持ったものであるという心理に目覚め、自然と共存する生活を獲得しなければ、進化する時間を手に入れることなく、消滅していくでしょう。
 わたくしは、永遠の生命を信じます。
 輪廻にのった生命こそ、永遠なのです。
 この心理を万人が悟るためには、血を恐れつつも、慈しむ心を育てなければならないのです。
 それを知らしめるために、ギロチンにたって殉死してくれる者たちは、体現者としてわたくしたちに道を示してくれる尊い者たちなのです。
 罪あって、というのも、わたくしたちの狭視的な正義感の結果でしかないのです。
 そのことをわたくしたちは、心から思い知って、体現者たちに感謝と祝福を送らなければなりません。
 そのうえで、わたくしたちは、血と肉が大地に滋養をもたらして、次なる生命を育んでいくという原理の上に、人間社会の永遠性を獲得していくのです。
 そうしないと、人類は遅かれ早かれ自滅するでしょう。
 ギロチンは、わたくしたちが母の原理に接することができれば、廃止しましょう。
 その後は、母性の心を原理とした母なるマリアの心を育て、この原理によって、母なる帝国としてのザンスカールをわたくしたちの家とするのです。
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