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ディアナ・ソレル(キエル)演説

 通信による二年間の交渉を踏まえ地球降下作戦は決行され、そして彼らの代表は、我々を受け入れる姿勢を示してくれたのです。更なる相互理解を深めることを願い、私は親睦の会を催しました。
 しかし、残念ながら彼らはそのような席に銃をもって応じたのです。彼らは、埋もれていた数々の兵器を呼び覚まし、武力による解決を選びました。帰還部隊は現在もなお、地球側戦力による激しい攻撃に晒されています。
 幸い私は、数度にわたる暗殺の手にもかかることなく、生き延びて参りました。しかしそれは、同時に死に勝る苦しみを意味するものでした。何故なら、私は過激さを増す攻撃の前に多くの臣民が、犠牲となる光景を目の当たりにしなければならなかったのです。
 そして、彼らは知らないのです。その無自覚な戦争行為が、二千年の再生を経て、ようやく癒されつつある地球にどれほどの悪影響をもたらしているのかを。このまま放置すれば、ごく短期間のうちに、地上は再び暗黒の時代へと転落していくでしょう。
 正しい知性を持ってして、彼らを導くこと……。それこそが、我々ムーンレィスに課せられた使命でありましょう。
 しかし、話し合いによる解決が望めぬ今、不本意ながら短期決戦こそが、互いの被害を最小限に押さえられる手段であると考えます。地球帰還作戦に関する全体性の強化と再編成が求められています。地上に残された多くの帰還民のため、私、ディアナ・ソレルは身を引く決断をいたしました。
 ギム・ギンガナム。彼を総統として迎え、第二期地球帰還作戦に関わる全権を委ねることをここに宣言いたします。
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