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ギルバート・デュランダル演説

 今私の中にも、皆様と同様の悲しみ、怒りが渦巻いています。何故こんなことになってしまったのか? 考えても既に意味のないことと知りながら、私の心もまた、それを探して彷徨います。
 私たちは、つい先年にも大きな戦争を経験しました。そして、その時にも誓ったはずでした。こんなことはもう二度と繰り返さないと。にもかかわらず、ユニウスセブンは墜ち。努力も虚しくまたも戦端は開かれ。戦渦は否応なく拡大して。私たちはまたも同じ悲しみ、苦しみを得ることとなってしまいました。本当にこれはどういう事なのでしょうか。愚かとも言える、この悲劇の繰り返しは。
 一つには、先にも申し上げた通り、間違いなくロゴスの存在所以です。敵を作りあげ、恐怖を煽り戦わせて、それを食い物としてきた者たち。長い歴史の裏側に蔓延る彼ら、死の商人たちです。だが、我々はようやくそれを滅ぼすことができました。だからこそ、今あえて私は申し上げたい。我々は今度こそ、もう一つの最大の敵と戦っていかねばならないと。そして、我々はそれにも打ち勝ち、解放されなければならないのです。
 みなさんにも、すでにお判りのことでしょう。有史以来、人類の歴史から戦いの無くならぬ訳を。常に存在する最大の敵。それは、いつになっても克服できない、我ら自身の無知と欲望だということを。
 地を離れて宇宙を駆け、その肉体の能力も、様々な秘密までも手に入れた今でも。人は未だに人を判らず、自分を知らず、明日が見えないその不安。同等に、いやより多く、より豊かにと、飽くなき欲望に限りなく延ばされる手。それが、今の私たちです。争いの種、問題は、全てそこにある。だがそれももう、終わりにする時が来ました。終わりにできる時が。
 我々はもはや、その全てを、克服する方法を得たのです。全ての答えは、皆が自身の中に既に持っている。それによって人を知り、自分を知り、明日を知る。これこそが、繰り返される悲劇を止める、唯一の方法です。私は、人類存亡を賭けた最後の防衛策として、デスティニー・プランの導入実行を、今ここに宣言いたします。
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