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『こんなマリみてはいやだ 燃えよペン編
“第2話 弱肉強食激闘編”』
「みなさんこんにちは。
今回もまた新聞部の熱い血潮を感じてもらうことにしよう。
この生徒、新聞部員築山三奈子!
どこにでもいる、ごくありふれた、女子高生の一人である。
彼女は、今月から新聞部部長『リリアンかわら版』編集長となり、多忙を極めていた。
しかも、なんと、まったく同時に隣の部室に築山三奈子のライバル、武嶋蔦子の写真週刊誌も始まったのである!!
しかも、同じジャンル──二人とも同じスクープ性を重視した内容なのだ!」
三奈子「武嶋蔦子には、負けられん!!」
キイッ
バタム
江利子「山百合会の江利子ですっ!
三奈子さん、第1回のアンケート結果が出ましたっ!!
リリアン通信が5位、リリアンかわら版は7位です」
ガタン
三奈子「な、なぜだっ!!」
江利子「たぶんヒロインのせいじゃない!?
リリアンかわら版には令と由乃ちゃんばっかりだから。
しかも、リリアン通信は、滅多に取材に応じないことで有名な、紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)とのパイプを持っているわ。
読者は、より知りたい情報を求めるものよ!」
三奈子「うぬうう、や、やるな武嶋蔦子!」
蔦子(うふふふふ、ふふほほほ。)
三奈子「…………。
だったらこっちは、白薔薇さま(ロサ・ギガンティア)だ!!
今だ、妹をつくらない白薔薇さまを特集して、どこよりも早く妹候補を見つける!」
江利子「それよ、三奈子!」
「一方、こちらは武嶋蔦子のいる写真部の部室である」
祐巳「蔦子さん!」
蔦子「最新号が出来ましたか」
祐巳「三奈子さまのリリアンかわら版を見てください!!」
蔦子「うっ、こっ、これは!
まさか、この1年生が白薔薇のつぼみになるんじゃないでしょうね……」
祐巳「すでに薔薇の館へ連れて行っているようです!」
蔦子「やっやられた!!
まさか、こんな重要なキャラクターを見過ごすとはっ」
祐巳「このもりあがりで、三奈子さまのリリアンかわら版は、かなり人気の票数がいきますよ」
蔦子「…………。
この娘は、紅薔薇のつぼみの妹になってもらおう!」
祐巳「蔦子さん!!」
蔦子「しかし、一度では妹させないぞ。
妹になるんじゃないかなってところで二ヶ月はもたせて、人気を取りまくってやる!
しかも、紅薔薇のつぼみにはもう1人妹候補がいたことにしてもりあげてやる。
みてるがいい三奈子さまっ!!」
祐巳「こっこいつは泣ける!
いけますよ蔦子さん!!」
プァンン
ガタン ガタン ガタン
三奈子「ふふ……はまったな蔦子!
うかつな奴め!!
あの娘の気持ちはほぼ白薔薇さまに傾いている。
かわりを見つけるのは手間がかかるってもんだ。
そのあいだに私は……。
白薔薇番記者を常駐させる。
白薔薇さまのロザリオ授受の瞬間をスクープするのだっ!
こいつで、きまりだっ!!
武嶋蔦子おそるるに足らず!!
くやしがる姿が目にうかぶぜっ」
「しかし、数日後築山三奈子は恐るべき事実と遭遇するのである!!」
三奈子「!!」
蔦子「うっ!!」
三奈子「……」
蔦子「……」
三奈子「よ、よお……!」
蔦子「お久しぶり……今日はまた、何をしに薔薇の館へ……?」
三奈子「なあに、黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)が打ち合わせをしたいと言うんでね。
ちょいと来たまでさ。
反響の手紙こんなに……はっ!」
蔦子(ニヤリ)
三奈子「そ、その写真は……!?」
蔦子「なあに……全然たいしたもんじゃないですよ……んじゃあ。
……フッハッハッハッハッ」
三奈子「……」
三奈子「武嶋蔦子は、始めからあの娘だけ追いかけていたわけじゃなく、紅薔薇のつぼみの妹(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン・プティ・スール)候補を見つけていたんだ」
真美「しかも、タイを直しているシーンですよ、三奈子さま」
森林「こいつは、女の子が失神するわけだ。
三奈子のはほとんど黄薔薇さまからの情報ですからね」
三奈子「ええい、うるさいっ!!
ひとりにしておいてくれ……」
真美「三奈子さま……」
プルルルルッ
真美「三奈子さま!
黄薔薇さまから電話です!」
三奈子「…………!
な……なに?
もう一度言ってください!!」
江利子「3週連続山百合会特集ですよっ。
しかも、1面も3週連続白薔薇のつぼみ!!」
三奈子「ど、どうして……」
江利子「いや──じつはリリアンかわら版が最近山百合会でバカウケでね。
紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)にも気にいられちゃってるのよ。
特に白薔薇さまも気に入ってて!
バックナンバーを持ってきて言われてるの。
リリアン通信?
まあまあね。
最近では……由乃ちゃんにはうけてるみたいだけどね」
三奈子「そうだったのかっ。
しょせん1年生かっ蔦子!!
おそるるに足らず!」
「その後も二人は何かに取り憑かれたようにはり合った!!
武嶋蔦子が3時間しか寝てないと知ると──
築山三奈子も睡眠時間を2時間半にけずり。
新聞部の部員が過労で倒れたと聞くと、
写真部も部員を倒そうこき使い結局2人の部員に逃げられた。
蔦子が〆切ギリギリまでねばって顧問に24時間監視されたと聞くと……。
三奈子は真剣におちるかおちないかのところまで遅れ印刷所をストップさせてしまったり。
築山三奈子が一週間風呂に入ってないと聞くと──。
武嶋蔦子は二週間風呂に入らなかったり──。
リリアン通信が6ページ増で出すと──。
リリアンかわら版は10ページ増で出したり……。
二人のリリアン生の熾烈な争いは一ヶ月に渡って続けられた!!
この物語はフィクションであるが、フィクションでない所もある!!
そして遂に、二人の学内報はリリアン女学園一位二位を争うまでにいったのである!!
だが!!
武嶋蔦子の方は、紅薔薇のつぼみとその妹の話題が落ち着いて来たために、次の話題に頭を悩ませてた!」
蔦子「まずい……もうどうやっても続けられない。
このへんで適当にテーマらしい事をにおわせて……幕を下ろすしかない……」
これまでか……!」
「「リリアン通信」大人気ながらこの月におわる。
築山三奈子は、またこいつで黄薔薇姉妹の破局をスクープした『黄薔薇革命』によって部数を伸ばしたが、この余波があまりにも大きく山百合会から反感を買ってしまっていた!!」
三奈子「しょうがない……ここまでだな」
「リリアンかわら版」同じく人気絶頂のうちに一時休刊。
数日後、東京、吉祥寺のとある場所でこの二人がバッタリと顔を会わせる」
三奈子・蔦子「尻切れトンボ」
三奈子「バッカヤロオォ、てめえ、この!
なんだとおもってやがる!」
蔦子「えらそーに、ちっきしょおおお!」
「二人の熱いリリアン生徒の戦いは──まだ続く!!」