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『こんなマリみてはいやだ 燃えよペン編
“第3話 アシスタント無情激涙編”』
「ここはそう──
不夜城、新聞部と人は呼ぶ!
専用の自転車もおいてある!
まさに新聞記者の仕事場といえよう!
すでに今回の仕事が始まってからまる2日がたっていた!
しかし……しかし!
この生徒は……この新入部員山口真美ちゃんは一睡もしていなかった!
なぜか?」
真美「は、早く。
早くわたしがこの原稿を終わらせなければ──仕事が終わらない!!」
部員A「うえ〜〜すごい取材資料」
部員B「信じられへんわー」
真美「よしっ!
み、三奈子さま!
三奈子さま! できましたっ!」
三奈子「うむ!」
真美「!」
三奈子「あとはレイアウトして、校正が終わればゲラの完成だ!
……!?」
真美「!?」
三奈子「……!!」
真美「!!
……ど、どうしたんですか三奈子さま」
三奈子「……リテイクだ」
真美「…………!!
いやあああっ!」
森林「真美ちゃん!」
バン
森林「真美ちゃん」
部員A「三奈子さん」
部員B「三奈子さん!」
三奈子「ほうっておけ!!」
真美「…………」
森林「真美ちゃん……」
真美「森林さん、あたしもういやっ。
あんな三奈子さまのもとでなんか働けないわっ」
森林「真美ちゃん、よく聴いてくれ……。
あそこでリテイクを出して、一番つらい思いをしているのは三奈子なんだよ」
真美「信じられないわっ、そんなこと」
森林「誰もがはじめはそうさ……。
だが、三奈子は新聞に命をかけている!」
真美「三奈子さまが命をかけるのは勝手よっ。
その為にこっちの命までけずられちゃあたまらないわっ」
森林「聴いてくれ、真美ちゃん!
昔……三奈子がまだ新人だった頃の話さ……。
三奈子には心から愛した後輩がいた。
そして、彼女は三奈子のアシスタントもやっていたんだ」
真美「……」
森林「二人は誓いあった。
必ずや高校へ上がったら姉妹(スール)になろう!
三奈子は取材、レイアウト、校正をした。
彼女は記事を書いた。
そして、二人で仕上げた!
幸せな二人の日々は、永遠に続くかと思われた。
だがある日……」
三奈子「……ちょっとちがうかな?
書き直してくれないか……」
三奈子の妹「えへ、やっぱり?
わたしもなんか変だなあって思ってたのよ。
すぐ書き直すわね!」
三奈子「……!」
三奈子の妹「はあーい、出来たわっ!!」
三奈子「どれどれ?
……!」
三奈子の妹「!?」
三奈子「だめえ?
また、リテイク?」
三奈子「あ……うん」
「そして、それがなんと五回もくり返されたのであるっ。
泣きながらも五回も書き直した彼女の愛!
だが!!
六回目もできはよくなかった!
築山三奈子は、彼女の顔をみる──疲れきった彼女の顔は、こう語っていた!」
三奈子の妹「今度リテイクが、もし出されたら……その時は終わりね……あたしたち……」
真美「で……どうしたの!?
どうしたの三奈子さまは。
森林さんっ!」
三奈子「リテイクだ……」
三奈子の妹「!!
…………」
ガシャンン
「──だが、築山三奈子は泣かなかった。
新聞を印刷させてから、初めて泣きじゃくったという」
三奈子「ぶぎゃあ、ああああああ、ああ」
「しかし、新聞が印刷されるまでは、ひとつぶの涙も見せなかったという!」
真美「新聞が印刷されるまで……」
森林「そう!」
真美「……森林さん、あたし書くっ。
もう一度……いいえ!
何度でも、あの地獄のような原稿を書き直すわっ」
森林「その意気だ。
真美ちゃんっ」
シャッ シャッ シャッ
カリ カリ カリ カリ
真美「三奈子さま」
三奈子「うむ!
……!!」
真美「いやああああっ」
森林「真美ちゃん!」
三奈子「ええい、ほうっておけっ」
「まだまだ新入部員の試練はつづく!
耐えろ真美!
一人前になる日まで!」