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『こんなマリみてはいやだ 燃えよペン編
“第6話 オリジナルアニメ製作接触編”』

三奈子「なにい! 『マリア様がみてる』がアニメ化!?」

「どこにでもいる女子高生 築山三奈子」

「総合企画発起人 真木多郎」

三奈子「しっ、しかしあれは、学校新聞の作品ですよっ」
真木「いいのいいの、ぼくらが好きなんだから!」
三奈子「!?」

三奈子(期待してはいかんぞ……築山三奈子。
 小説の映像化なんてよくあること。
 どうせまた、いつものようにうやむやのうちに消え去ってゆく話だ。
 期待するな、築山三奈子!
 過去に何度もお前は本気になって涙を見たのを忘れたのか!
 だが、声優はやはり中島沙樹がいいな……。
 キャラクターの線は細いほうが……)

三奈子「はっ。
 いかんいかん。
 期待してはいかんぞ、三奈子!!」

三奈子(でも、原作を使うんなら最初からちゃんと使ってくれるかなぁ。
 一話はどこからどこまでかなぁ……)

三奈子「はっ。
 いかん、夢を見るな、見てはいかん。
 見てはいかんのだ、築山三奈子!!」

「しかしなんと、本当にアニメ関係者との打ち合わせは始まったのである!」

三奈子「うっ」
スタッフA「…………」
スタッフB「…………」
三奈子「原作者の築山です!!」
脚本家「どうも。
 ストーリー構成は、こんなものですがいかがでしょう」
三奈子「…………!」
脚本家「主人公の祐巳が男子校に転校するという……オリジナルストーリーです。
 その男子校の半分は実は女子生徒の男装で、その女子生徒と祐巳が戦うというストーリーでどうでしょうか?
 祥子のパンチラで鼻血をブーッと吹き出し空中を飛ぶ主人公!!
 敵も負けじと空中へ舞いあがる!
 そこで繰り広げられる大空中戦!!
 そいつがみどころです!」
スタッフA「なんですかそりゃあ」

ぶはははは

どっ

うわっはははは

スタッフB「そいつあいい! いけるよ。けっさくだ」
三奈子「!? でっ……でもおもしろいですけど、これじゃ私の小説と全然……」
脚本家「売る為にはこれでなくてはいけません!!
 ビデオのパッケージは祥子の水着姿!!」
石野「そっちのほうがおもしろいからしょうがないだろ!」

ピクッ

三奈子(こっ、この男は、今回のアニメの監督をつとめる……今のアニメ界を一人で支えていると言われる奇才、石野悟!!)

「そして、その夜……築山三奈子はアニメの打ち合わせに完敗し、泣きながら家路に帰ったという」

三奈子「ちくしょうちくしょう。
 私の小説はああじゃないやい!
 昔に書いた小説なんて恥ずかしくてあまり読まなかったが……今あえて読んでやる。
 たあっ」

バッ

三奈子「……!!
 …………」

バン!

三奈子「はっ……!!
 いっいかん。
 私の大切な歴史的書物を……。
 ……。  ……。

 正直いって、文章が下手だ!!」

ドドォオン

三奈子「話にまとまりがない!!」

ズパパーン

三奈子「いきおいだけはあるが……ありすぎて読みづらいっ!
 しかも内容がてれくさい!!
 身もだえするほどに!!
 …………。
 …………」

「この時、築山三奈子は思った。
 アニメへの口出しはいっさいやめよう。
 知らんふりしてわたしはわたしの、今のリリアンかわら版を書いていればいいのだっ!!
 しかし、あのアニメをつくるために関係者が皆また『マリア様がみてる』を読むのかと思うと……」

三奈子「うわあああっ!!」
部員A「どうしたんですかっ三奈子さん!?」
三奈子「やっ、やめてくれ〜〜っ!」

「ビクターエンターテインメント」

「主題歌打ち合わせ」

スタッフB「これが、築山さんのかいてきたイメージの詞です!」
スタッフC「ほう、なるほど!」
スタッフA「じゃあ、このセンでいきましょか」
スタッフC「ところで曲ですが……私はロック調の音楽がいいと思います!!」
スタッフA「いや! 私はぜひフュージョンの曲調でやりたい」
スタッフD「いや私は……」
スタッフA「絶対こっちのほうがいい!」
スタッフB「私の意見が正しい!」
スタッフD「築山さんはどう思うんですか!?」

「築山三奈子は、自分が決めると絶対失敗しそうな気がしたのでだまっていた」

「6時間後」

はあ はあ はあ
はあ はあ はあ

スタッフC「じゃあこうしましょう……。
 築山さんはこの詞をつくった時、何か曲のイメージが頭にあったに違いない!」
スタッフA「そうか……ためしに、築山さんにでも曲をつくらせてみるか!!」
三奈子「! …………!!」
スタッフ「いーですねっ!!」
三奈子「ちょっ……ちょっと待ってください、作曲なんて……」
スタッフB「大丈夫大丈夫できます!!」
スタッフD「おつかれさまっ」
スタッフA「期待してますよっ」
三奈子「でも……」
スタッフC「大丈夫!
 築山さんのイメージを自分でふきこめばいいんですよ。
 あとは、プロの先生がちゃんと曲にしますから!」
三奈子「しかし……」
石野「へっ、それくらいできねえのかよ、原作者のクセに……」
三奈子「!!」
石野「いやなら、いいんだぜえ、別に……」
三奈子「や……やってやるうっ!!」

「それからの築山三奈子は、どっかできいたことのあるような曲を何度も何度も口ずさみはじめた!
 風呂で、焼肉屋で、電車の中でも。
 一番ノリがよかったのは、自転車をこいでいる時だったという!!」

スタッフB「そろそろ曲が必要なんですが、いかがでしょうか?」
三奈子「……わかりました」
三奈子(ついにこの時が来たか)
部員A「三奈子さん、どこへ行くんですか?」

ビタッ

三奈子「音楽室だ……いいか!
 今から誰も音楽室に上がってきてはいかんぞ!」
真美「なんで……」
三奈子「なんでもいいっ!!
 死んでも上がってきてはいかんぞ」

「校舎3階の音楽室」

バタン

ピシャッ

パタッ

「60分MD」

「スプリングエコー付きマイク」

三奈子「……」

スー……

バチ

クワッ

三奈子「うわあああああ。
 まーっ赤ーなーばらーおー
 ふーきーあーげーてー
 けーむりー
 うーずまき
 かーけて
 くーるーう
 うなるうーっ
 うなる必殺キィーックウ〜〜〜
 あたるウウウ
 ゥあたる必殺パーンーチィィィーーーッ
 あーいと勇気の充電完了
 おーれーは
 ほーのーおぅーのォ
 ろぉぉさきねんしぃすぅ〜〜〜っ!」

フーッ

三奈子「2番!!」

「築山三奈子17歳。
 どこにでもいるありふれたスパークする新聞バカである!
 だが今、彼女はスパークしすぎで自分を少しだけ見失っていた!
 果たしてこの曲が本当に使われるのか。
 そんなものを誰が金を出して買うのか!?
 そして、アニメのゆく末はどうなる!?」

次回へと続く!!
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