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『こんなマリみてはいやだ 燃えよペン編
“最終話 オリジナルアニメ製作発動編”』

「あたる──ウ────ウゥ
 あたる必殺パ──ンーチィィ──
 あーいと勇気の──
 充電完了──!!」

スタッフE「カントク、なんですかその……えーと……変な歌は……」
石野「フフン」

「わ──たしーはぁ」

石野「まあ聞けや、これが築山さんがつくった『マリみて』の主題歌なんだってさ。
 まいったね」

「ほーのおぉー」

スタッフE「え……これがあっ」

フッ

石野「うっ、ひゃーっはっはっはっはっはっはあっ!!」

「ろぉーさきねーんしすぅー」

「リリアン女学園新聞部部室」

郵便屋「郵便でーす」
真美「はあい。
 三奈子さま、GAIMAXさんから手紙です」
三奈子「!! 見せろっ!」

バッ!!

ビリビリビリッ

三奈子「き……来たっ!!
 『マリア様がみてる』の絵コンテだっ!!
 …………!?
 !!」

「東京都小金井市 スタジオGAIMAX」

「声優打ち合わせ」

ギィィ

石野「よお。来たな原作者!」
三奈子「声優の打ち合わせをする前に、聞いておきたいことがある」
石野「!?」
三奈子「この絵コンテを描いたのは誰だ!?」
石野「おれだ」
三奈子「きさまか……やはり」
石野「どうだってんだ、原作と違うって言いてえのか」
三奈子「いや……文句なしの見事な絵だ……ぜひこの感じでいってくれ……!
 たのむ……」
石野「待ちな築山!!
 おめえの歌……最初は聴いてて虫酸が走ったが、今はもうあの歌なしじゃあ生活できなくなっちまった……。
 ふっこのおれがよ……」
三奈子「!?」
石野「ほれたぜ……すげえ主題歌だ!」
三奈子「!!」

「炎の紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)」
 作詞作曲・築山三奈子

まっかな薔薇を
吹き上げて
煙うずまき
駆けてくる
握った拳が血脈早め
女の怒りが爆発だ!
うなる! うなる必殺キック!
あたる! あたる必殺パンチ!!
愛と勇気の
充電完了!
わたしは炎の
紅薔薇さま!!

「そして、声優も決まり主題歌の録音も開始された!」

中島「あたるぅ あたる必殺パ──ン──チィィっ」

「主役の中島沙樹が欠陥をうかせて熱唱する!!」

中島「あーれはだれっだ──」

光宗「これだ……」
録音スタッフ「これですね、光宗さん!」
光宗「うん」

「録音スタッフのこめかみや手にもおのずと血管がうきばしった!!」

「アフレコ!
 再び主役の中島沙樹が血管をうかせる!
 玉川紗己子がうかせる!」

玉川「お姉さまが死ねと言ったらお前も死ぬんだな」

三奈子「そうですね、たぶんこれは」

「特別チョイ役の築山三奈子もうかせた!」

音響監督「ちょっとストップ!
 築山さんフツーのセリフですから、もう少し淡々と喋ってくださいよ、変に感情をこめないで」
三奈子「は……はいっ」
音響監督「いつもの調子でいいんですよ、ふだんの調子で!」
三奈子「しっしかし」

「築山三奈子は日常生活でも感情をこめて喋る女子高生なので、普通の演技ができないのだ!!」

三奈子「あ……う……う」
久川「大丈夫大丈夫、気にしちゃダメ!
 カンタンカンタン!
 OK! OK!
 元気元気!」
三奈子「そ……そう?」
久川「いけるいける」
三奈子「そうかな?」

「いつも100ワットに明るい久川綾の根拠のないはげましが、築山三奈子の心をなごませる!」

「調布現像所」

「『マリア様がみてる』第一号試写会」

祐巳「国電の破壊力を持った、必殺パンチ!!
 福沢国電パンチだ!!」
聖「な……なにいっ!!
 国電の破壊力!?」

聖「国電の破壊力!!」

三奈子「す……すげえ……この出来は……この出来はすげえよ!
 石野!!」
石野「!!」

ニヤリ

三奈子「フッ……あいつめ……」

真木「どうでしたっ、築山さん!」
三奈子「う……うむ。
 これだ!!
 ……と思いました」
真木「やはり!!
 実はわれわれも……これだ……と思っていたんですよ」
三奈子「熱いフィルムだったぜ……石野!」

ガッ

石野「築山……まあ、あんなもんよ……」
三奈子(この手は!
 その右手はすべての動画の線に力強いタッチで修正を入れまくった「男」の手だった!!
 まさに空前絶後の体当たりワークである!!
 命をかけたアニメーションといってもいいだろう!
 そのボロぞうきんのようになった手に、しかし確かな熱い血が脈うっていた!!
 このアニメがテレビ局を通して全国に放送されるのだ……各レンタル店にこの『マリみて』が置かれるのだ。
 卒業したお姉さま……観てくれよ……。
 いっしょに遊んだあいつらも、観てくれるだろうか……)
久米「築山さん!」
三奈子「パイオニアLDCの久米さん!
 いやあ、いいアニメをありがとうございます」
久米「それでですね、このアニメはO・D・Aとして売り出すことに決定しました」
三奈子「O・D・A?」
久米「そう、オリジナルDVDアニメーション。
 ビデオの発売はなしの、DVDのみの販売です!」
三奈子「な……なにっ!?」
 じゃあレンタルビデオ店には……」
久米「置かれません!」
三奈子「…………。
 そ、そんなことやって大丈夫なんですか、人の目につくんですか?」
久米「大丈夫大丈夫世界初の試みですよ、世界初!」
三奈子「そっ、そんな……言葉はかっこいいけど……。
 わたしの友達でDVDプレイヤーを持ってる奴なんて、10人に一人ぐらいしかいませんよ!!」
久米「大丈夫大丈夫!」
三奈子「!! うわあああ」

「せっかくいいアニメができたのに不安のどん底に突き落とされた築山三奈子!!
 はたしてこの『世界初』は本当にいけるのか!?
 それは、キミ達の決断にかかっているのだ!」
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