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『こんなマリみては……いやじゃないかも “機動武闘伝Gガンダム編”』

「さて もしよろしければ、皆様方にこのリリアンファイトをご説明させていただきましょう。
 そもそも60年前の事です。
 薔薇さまの妹だけが生徒会幹部になれる世襲制を廃止するため毎年2月、それぞれの学年、クラスから立候補を選び、ファイトと称し、闘って、闘って、闘いあわせ、最後まで勝ち残った立候補者が山百合会幹部を手にする事ができる。
 なんとスポーツマンシップにあふれた生徒会選挙を作り出した事か。ですが、残された問題が一つ。このファイトの舞台は東京。そう我々の我々が住む汚れきった東京だったのです。
 しかし、今回の大会はなにやら様子が少し違うようです」

祐巳「そこのお前! この女に見覚えは無いか!」

「ふぅ さてこの写真がどのようなファイトの嵐を吹き荒らすのか!
 それでは! リリアンファイト! レディーゴー!!」

祥子「どこを見ておる! 私はここだ! ここにおる!」
祐巳「お姉さま……!」
祥子「くあぁぁぁぁぁぁっ! 答えろ、祐巳!!
 流派!! 紅薔薇は!?」
祐巳「王者の華よ!」
祥子「全新!?」
祐巳「系烈!!」
祥子・祐巳「「天破侠乱!! 見よ!リリアンは赤く燃えているぅぅ!!」」

祥子「ふ、久しぶりだな、祐巳。いや、私が認めた紅薔薇のつぼみ。」
 ん?」
祐巳「うっ……お姉さま……! お会いしとうございましたぁぁぁっ!
 ぅぅっ! ぁぁっ! ぅぅ!」
祥子「どうした? 妹たる者が何を泣き出す」
可南子「ああぁ……!」

祥子「なぁ、祐巳。やはり、私らは姉妹の縁というもので結ばれているらしい」
祐巳「!?」
祥子「何故なら、私がここにいる理由も、お前のいう柏木優と関係があるからだ!」
祐巳・可南子「えぇ!?」
祥子「見ろぉ! このリリアン女学園を! かつて華族の令嬢ために創られたこの学校がぁ! 薔薇の館を残して廃墟と化してしまったぁ!」

祥子「フッフッフッフッフッ……。驚くのも無理はなかろう。信じられぬのも無理はなかろう…だがこれは事実だ。
 ……哀しいか、祐巳? 恐ろしいか、祐巳?……お前のお姉さまには全てお見通しだ。
 だから私を信じろ…。されば救われる…。さあ…この手を取れ…。そして立ち上がれ…。私はいつもお前と一緒だ。だから安心しろ。
 ほぅら。あの柏木優が。いや、弟君がお待ちだぞ」
祐巳「弟が待ってる……お姉さまが一緒……」
祥子「そうだ。共に行こう。そして、強く強く強く強く、強くなるのだ……」

祥子「あまりの素晴らしさに言葉も出ないか……そうだ。
 ワシは他の者と違って、操られてなどはおらぬ。
 この柏木優の強さに魅せられて、自らその配下となったのだ」
祐巳「そ、そんな!」

祐巳「また会おう、か……。だが、私にはまだここでやることがある……!
 さぁ! もう出てきたらどうだ!」
祥子「ハッハッハッハ。友を無事に行かせるために残るとは! つくづく馬鹿な奴め!」
祐巳「うるさい! 私はもうあんたをお姉さまとは呼ばない!
 ……今日からは私の敵! ロサ・キネンシス、小笠原祥子!」
祥子「だーはっはっはっはっ。育ててやった恩をアダで返す愚か者! その減らず口も今日限り! 見よぉ!」

柏木優登場

祥子「馬鹿めが! さっさと逃げれば良かったものを!」

祥子「祐巳! 逃しはせんぞぉぉぉ!
 まさか、ここから無事で出られるとでも思っていたか!? この馬鹿妹がぁ!!」
祐巳「そんな体でまだ動けるなんて!
祥子「当たり前だ!……私の名を忘れたか? 今だ負けを知らぬはロサ・キネンシスよぉ!!
 そうだ。この名にかけても、貴様だけは許さぁぁぁん!!」
祐巳「ああ……や、やめろぉ!! もう、あんたに勝ち目はない」
祥子「何を言う! 妹の分際でぇ!」
祐巳「何故だ! 何故こうまでして戦う!? なぜ、私を倒さなければならない!?」
師匠「うるさぁい! 貴様などに分かってたまるかぁ!……クッ……私が何のために戦うかだと!?
 そんなことを貴様に話して何になるぅ!」

祥子「そうだ……償いだ。犯した罪は償わなければならん。この手でなぁ……。
 そう、学園に建つ温室……並木道……桜の樹……そしてマリア像……。
 全てが偽物の世界の中で生きている愚か者どもから、この学園を取り戻す!」
祐巳「だからと言って、人間を抹殺していいはずがない!」
祥子「まだ分からんのかぁ! なにがリリアンファイトだぁ! 何が理想的な生徒会役員選挙よぉ!
 我が身を痛めぬ勝利が何をもたらす! 所詮はただのゲームぞ!」
祐巳「だがぁ、むやみに人が死ぬよりははるかにいぃぃ!」
祥子「だからお前はアホなのだぁ!」
祐巳「ゴッド!」
祥子「ダークネス!」
祐巳・祥子「「フィンガー!!」」
祥子「ぐぁぁぁぁぁぁ!」
祐巳「うぉぉぉぉぉぉ!
 ……あぁっ……こ、これは! 拳から深い哀しみが伝わってくる!
 ロサ・キネンシスの拳が……拳が泣いてる!? な、何故だ!」
祥子「うるさぁぃ!! とぁぁぁぁ!」
祐巳「私の心に、悲しみがひびく!
 ……そうだ! おのれの拳は、おのれの魂を表現するものと教えてくれたのは、この人だ!
 ……ならば、これがロサ・キネンシスの魂の響きなのかぁ!?」

祥子「祐巳! まだ分からんのか、この私の気持ちが!」
祐巳「ああ! あんたのやろうとしていることは人殺しにすぎん!」
祥子「!? 祐巳……!
 こ、このうつけ者がぁ!」
祐巳「ロサ・キネンシス! あんたは間違っている!」
祥子「なにぃ!?」
祐巳「何故ならば……あんたが抹殺しようとする人類もまた、天然自然の中から生まれたもの。
 いわば地球の一部! ……それを忘れて、何が自然の、地球の再生だ!
 そう、共に生き続ける人類を抹殺しての理想郷など、愚の骨頂!」
祥子「…………!
 ふん! ならばわしが正しいか、お前が正しいか、決着を付けてくれるわ!」
祐巳「おおぉ! 紅薔薇のつぼみの名に賭けてぇ!」

祐巳「ぐぁぁぁぁ!」
祥子「はっはっはっはっはっ! ぐわっはっはっは!
 そこまでか! 貴様の力など、そこまでのものに過ぎんのかぁ!
 それでも紅薔薇のつぼみかぁ!?
 足を踏ん張り、腰を入れんか!
 そんなことでは、悪党の私一人倒せんぞ! この馬鹿弟子がぁ!」
祐巳「うぁぁぁぁぁ! ぐぁ!!」
祥子「何をしておる!
 自ら膝をつくなど、勝負を捨てたもののすることぞ!」
 立て! 立って見せい!」
祐巳「う、うるさい! 今日こそは、私はあんたを越えてみせる! ハァァ!」
祥子「どぉぉぉぉ!」

志摩子「行けぇぇ!」
令「祐巳!」
由乃「とどめをぉ!」
乃梨子「打てぇぇ!」
祐巳「おおぉう! 石破天驚、ゴッド・フィンガァ!!」
祥子「うあぁぁぁぁぁ!」
祐巳「ヒィィィィト・エェェェェン……」
祥子「よし……」
祐巳「!?」

祥子「今こそ、お前は本物のロサ・キネンシス……!」
祐巳「お……お姉さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
蓉子「祥子……祥子……。お迎えに参りました……。
 申し訳ありません……私たちこそ、もっと早く気付くべきだった。
 そう、リリアンファイトが正しい戦いかどうか……。
 それを確かめに、前回に大会に出場したあなたは、戦って戦って、戦いぬいて頂点に立った時……。
 自分の後に広がる廃墟を見て、リリアンファイトの弊害を己自身、演じていたことに絶望し、その憤りが全ての始まりとなったのでしょう……」
祥子「何が山百合会よ! 何がロサ・キネンシスよ!
 うわぁぁぁ!」
蓉子「その結果、あなた一人に全てを押しつけてしまったようですね……。
 あなたはその償いの方法を間違ったのでしょう……ですが私たちも正しいとは言いません。
 誰もが間違った道を歩もうとするこの時代。後は新しい山百合会の者たちを信じましょう。
 それだけが、私たちのできるただ一つのことなのではないでしょうか……」

祥子「なぁ、祐巳よ……お前には教えられたよ……人類もまた自然の一部。それを抹殺するなど自然を破壊するも同じ。私はまた、同じ過ちを繰り返すところであった……」
祐巳「あぁ……! お、お姉さま……!」
祥子「……私をまだ、お姉さまと呼んでくれるのか……!」
祐巳「私は、今の今になって、初めてお姉さまの悲しみを知った……!
 なのに私は、あんたと張り合うことだけを考えていて、話を聞こうともしなかった……!
 なのにあんたは最後まで、私のことを……!!」
祥子「何を言う……。所詮私は大罪人よ。
 だがな……見てくれ……一辺たりとも柏木優には犯されておらん!」
祐巳「分かっていた! 分かっていたのに!!」
祥子「なあ、祐巳……! お前とリリアンで出会わなければ、お前がリリアンファイターになどならなければ!
 こんな……こんなことにはならなんだのに……!」
祥子「美しいな……」
祐巳「はい! とても美しゅうございます!」
祥子「ならば……」
祥子・祐巳「「流派! 紅薔薇は!」」
祐巳「王者の華よ!!」
祥子「全新!」
祐巳「系烈!」
祥子・祐巳「「天破侠乱! 見よ! リリアンは赤く燃えているぅぅぅぅ!!」」
祐巳「!?……お姉さま!?
 …………お姉さま!!
 お姉さまぁぁ! お姉ぇぇぇぇさまぁぁぁぁぁぁ!!」

瞳子「可南子の心の扉を開くのに絶対効く呪文を教えてあげる。
 それは、『好きだ』って一言。
 ねぇ、今まで可南子に好きって言ったげたことある?」

瞳子「でないとあたし……祐巳さま以外の人、好きになれないよ!」

祐巳「私は……お前が……お前が……お前が好きだーーー!!
 お前が欲しいーーーっ!! 可南子ー!!」
可南子「祐巳さまー!!」
祐巳「可南子!」
可南子「ごめんなさい。でも私、もう離れない」
祐巳「離しはしない」
祐巳・可南子「ずぅっと、ずぅっと一緒だ(一緒よ)」
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