>>トップページへ マリいやトップへ

『こんなマリみては……ちょーくせになりそう
“TRICK2 episode 2 100%当たる占い師編”』

可南子「恋愛運、金運、共に最高。今週あなたの人生で最高の一週間となるでしょう。ふーん、この前もそんな事言ってて、六つ墓村なんていっちゃったしなあ」

どんっ チャリン チャリン

可南子「何するんですか」
老人「小銭か、フン」
可南子「ついてない、私、もう……ホントについて……あれ? 福引き……」

ガラガラガラ コロン

商店街の人「……! こ、これは……一等、米俵一俵、大当たり!」
可南子「これで1年間安泰だ……でも……重い……重い! ふう」
祥子「何してんの、あんた。なに、これ」
可南子「何でもありません」
祥子「こんな重いもん、どっから担いできたの。六十キロはあるわよ。あ、いいわ。あとで小笠原運輸の川田さんに言って、クレーンで持ち上げてもらうから」
祐巳「川田、川田」
祥子「でも、助かるわ、これだけあると」
祐巳「私、魚沼産コシヒカリ、大好きです」
可南子「これ、中身はお米じゃありませんから。手品の道具です、食べると死にます」

可南子「……! 蔦子さま! 何してんですか、人の部屋で、鍵までかけて」
蔦子「さっきそこの商店街で福引きやっててね、これが当たったのよ。まあ座って」
可南子「私の家じゃん」
蔦子「私の前に一等を当てた女の人がいたらしいわ。世の中には運のいい人がいるもんだよね」
可南子「はあ、そうなんですか」
蔦子「ちょっと頼みたい事があるのよ」
可南子「お断りします。私、そもそも、お金とか食べ物とかでころぶような人間ではありませんから。ましてや、このようなものでは」
蔦子「まあ聞いて。君は占いを信じてる? 雑誌とかによく出てるでしょう。恋愛運とか金運とか」
可南子「いろいろ見て一番いい事書いてあるのを信じる事にしてるんです。でも当たった事ないんですよ」
蔦子「一番悪いのを信じれば、全部当たるんじゃないのか」
可南子「ああ、そうか。そうですね。何しに来たんですか、あなた」
蔦子「最近学園に、百パーセント当たる占い師というのが出没しているらしい」
可南子「は?」

志摩子「そうなんですわ。とにかくその占い師は、何でもピタリと当ててしまうらしいんです。言われた通りにしないと、事故にあったり、株で大損したり。いくら何でもこれはおかしい、裏に何かあるんじゃないかという事を言ってくる善良な生徒がいましてね。
 とりあえず、その占い師の所にいって問いつめたんですが、彼女、私には未来が見えるだけといって埒があかない。それで、生徒を一人、その占い師の所に行かせて実験してみたんですよ。その占い師に、右へ行けと言われたら左へ行ってみる、左へ行けと言われたら右に行ってみる。本当に不幸が訪れるかどうか、試してみろと」
蔦子「で、その生徒さんはどうなったんですか?」
乃梨子「これじゃけ」
志摩子「逆らって反対の方に行ったら、穴に落ちよりました。カスですわ」
乃梨子「そがな救いのないことを……」

可南子「で、私に何の関係が」
蔦子「その占い師の所に行き、言われたのと逆のことをやって欲しいの。私は君に何がおこるか観察しているわ」
可南子「自分でやればいいじゃないですか」
蔦子「私は観察してなくちゃならないのよ」
可南子「そんな勝手な、とにかく帰ってください」
蔦子「そうか」
可南子「え?」
蔦子「実は、さっき、もっと興味深い事件に出くわしたの」
可南子「は?」
蔦子「あの商店街の福引き、知ってる? 1等2等3等って張り紙してあるけど、玉は元々2等と3等しか入っていないらしいの。1等はただの客寄せで、絶対に当たらないらしいわ」
可南子「……! そ、それは許せないですね」
蔦子「ところが、私の前に何故か1等の米俵1俵を当てた女の人がいた。これこそ超常現象だわ。何故入ってもいないはずの金色の玉が出てきたのか」
可南子「……変ですね、それは」
蔦子「そうそう、ちょうどそこにある玉みたいだった。あの福引きで使ってたの」
可南子「……」
蔦子「もし、その女の人がいんちき金の玉を作ったんだとしたら、これは大変な犯罪だわ。米俵一俵盗み取ったんだからね。君だって許せないと思わない? 金の玉事件。さあご一緒に金の玉……」
可南子「ええ! やっぱり変ですよ、その占い師。調べてみないと」
inserted by FC2 system