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『こんなマリみては……ちょーくせになりそう
“TRICK2 episode 4 天罰を下す子供編”』

蔦子「笑顔が可愛くないというのは女として致命的だわ」
可南子「何しているんですか、蔦子さま」
蔦子「ハッピーバースデーツーユー」
可南子「は? 私、蟹座ですけど」
蔦子「そのうち来るでしょ。今日はプレゼントを持ってきたの。どちらを選ぶ?」
可南子「プレゼント?」
蔦子「ああ。片方は麻布十番高級焼き肉屋のしゃぶしゃぶ付き骨付きカルビディナー&祐巳さんデート券が入ってる」
可南子「麻布十番高級焼き肉屋のしゃぶしゃぶ付き骨付きカルビディナー&祐巳さんデート券?」
蔦子「そう、君にはピッタリのプレゼントでしょ」
可南子「もう片方は?」
蔦子「開けてのお楽しみ。いらないなら持って帰るけど」
可南子「誰が入らないって言いました。じゃあ、右の方」
蔦子「ふふふ、君には天罰が下る」
可南子「くれるって言ったのはそっちですよ」
蔦子「そうじゃなくて、君は私の思う通りに動いているわ」
可南子「くれるものはもらう主義ですから」
蔦子「そうじゃなくて、君に天罰を下すために私がそれを選ばせたのよ。その証拠にこれを聞きなさい」
テープの声「可南子、君ははずれを選ぶ。はずれを選ぶのだー!」
可南子「はずれ?」

「はずればーか」

蔦子「ほらね」
可南子「どうせ両方ともはずれのくせに……!!」
蔦子「こっちを選んでおけば、これが食べれてデートもできたものを。これは日頃から何かにつけて強欲な君への天罰よ。な、なにをする!?」
テープの声「可南子、君にディナーとデート券をめぐんでやる、めぐんでやる」
可南子「テープの裏表に違うことを録音しただけじゃないですか。何が天罰ですか。そんなものあるわけないんだから」
蔦子「そう思うなら、私に協力しなさい」
可南子「意味不明なこというな。また何かやっかいなことを私に押しつけようとしているな?」
蔦子「いつ私が君にそんなことを押しつけた? まあ聞きなさい。これは人助けなのよ」
可南子「自分で何とかしてください」
蔦子「あ、そう。せっかくディナー&デート券を恵んでやろうと思ったのになぁ。あなたの好きな焼き肉が、ほーら目の前30センチのとこに、もぉ〜、もぉ〜」
可南子「それが人にものを頼む時の態度?」
蔦子「しゃぶしゃぶ焼き肉を恵んでやります」
可南子「仕事が入っているから無理です」
蔦子「ウソね」
可南子「バイト料も入るし、お金持ちへの道も開ける一石二鳥の仕事です」

祥子「これ、あんたにピッタリのバイトだろ?」
可南子「一週間になくなっても困らない人?」
祥子「ぴったりじゃないか」
可南子「私がいなくなると困る人いるし……」
祥子「誰?」
可南子「お姉さまとか?」
祐巳「私、全然困りません」
祥子「ほかには?」
可南子「カメとか……ハムスターとか、カメとか……」
祥子「三色宿泊施設完備で、こんなバイト料くれるんだよ」
可南子「怪しいですよ。絶対何かある」
祥子「疑り深い人希望。可南子、あんた条件にピッタリじゃないか。嫌とはいわせないよ」
祐巳「イヤとはいわせねえど」
可南子「……」

蔦子「それで何だったのよ、そのバイトは?」
可南子「潜入レポート」
蔦子「君が潜入レポート?」
可南子「あるセミナーに潜入して、そのインチキを暴いてレポートする。盗み撮りの写真をつけたらギャラ二倍」
可南子「社会的意義のある仕事です」
蔦子「何が社会的意義のある仕事よ。ようするにいかがわしい体験レポートじゃない」
可南子「見える……」
蔦子「な、なにが?」
可南子「私のレポートが一流雑誌に掲載されて悔しがるあなたの姿が……」
蔦子「見えるわけがない。リリアンかわら版くらいでいい気になって恥ずかしいとは思わないの?」
可南子「……」
蔦子「そうだ。雑誌記事といえば、はからずもここにこんな物がある」
可南子「?」
蔦子「編集長のどうしても私に連載を書いて欲しいというたっての願いでね。忙しい合間を縫ってちょこちょこっと書いているんだけど、かはらずも今じゃ四百万人の読者から絶賛の嵐が吹き荒れているわ」
可南子「なんですかこれ、自分の自慢してるだけじゃないですか」
蔦子「はからずも、そう読めてしまう部分もある」
可南子「蔦子さま……帰れ!」
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