>>トップページへ マリいやトップへ

マリア様がみてる SHADOW SKILL “SCAR FACE”

令「状況は圧倒的に不利よ……。賭け率は七対三。勝てばぼろ儲けだけど──勝てるの? 祥子、あの権田二毛作に」
祥子「それより、手前ぇはあたいに賭けたのかい? 令」
令「信用してますから」
祥子「よく言うよ、クソッタレ!! まあ、ゆっくり見てな。お金持ちにしてやるよ!!」

「この栄誉ある戦いを──」

祐巳(東京都下、武蔵野にある『私立リリアン女学園』。マリア様に集う庭の下、今日も乙女たちは、己が腕を競い合う)

「偉大なるイエスと、我らが英雄──」

祐巳(リリアンの象徴が何故紅なのか──私はこう思ってる)

「『クリスマスローズ』に捧げることを──」

祐巳(この紅は体の中を駆けめぐる赤くて熱い血の色だ)

「我が血に賭けて誓う──」

祐巳(『闘技祭』での相手はリリアンの生徒とは限らない。むしろ力ある者の相手は他校の男子生徒だ。
 祥子お姉さまはリリアンでもかなりの“使い手”だ。その証拠に、この準決勝までの戦い、男子相手に全て勝ってきた。
 でも、今日の相手は普通の男子生徒じゃない。今まで幾多の暴走族を葬ってきた『地獄の軍団』総長──権田二毛作!!
 お姉さま、大丈夫なの?)

祐巳「お姉さま!! やっぱり無理だよ!! あんな奴と素手で戦うなんて!!」
令「待ちなさい祐巳ちゃん!!」
祐巳「!! 令さま、な、何故止めるの? このままじゃ……」
令「ふふっ……バカね。ここで止めたら、祥子が怒るわ。祥子もリリアンで字名を持つ身よ。そんな山百合会幹部(セヴァール)が途中で戦いをやめるかしらね?」
祐巳「あ……」
令「ごらんなさい、あの嬉しそうな顔を──今、祥子は山百合会幹部としての誇りを、自分の総てを持ってしめそうとしている。自分のありったけの命を、勇気に変えてね……。
 それに──絶対勝つって言ってたんでしょ?」
祐巳「勝つからおこづかい全部賭けろって……」
令「じゃあ、全部見ないでも帰れるわ。だって、祥子があなたを妹(スール)にしてから1年間──あなたとの約束を祥子は一度だって破ったことはないもの!!」

祥子「我は無敵なり 我が紅薔薇にかなう者なし 我が一撃は無敵なり!!

祐巳(お姉さまは私立リリアン女学園で伝わるリリアン流交殺法という難しく危ない技の使い手で、その中でも秘技と呼ばれる“影技”をも会得していて好んで使います。この技もその一つ……リリアン流交殺法、影技、裂破)

祐巳「お姉さま!! よかった……私てっきりもうダメかと……」
祥子「バカ野郎!! 妹のくせにピーピー泣くな! いいか……祐巳。仮にも一般生徒から山百合会に入ろうとする者が、命を賭けた戦いで泣くんじゃない!! 戦う相手に最大の尊敬と敬意を払い打ち倒せ!! それが……人の生き死にで糧を得る山百合会幹部としての最低限のルールだ」
祐巳「……はい……」
祥子「……あ──えーい祐巳っ!」
祐巳「な、なに?」
祥子「しけた顔すんな。姉ちゃんは勝つって言ったら絶対勝つんだ!! それより、賭けの賞金おろしてパーティの用意でもしてろよ」
祐巳「うん!!」
inserted by FC2 system