そこで、祭司長たちとファリサイ派の人々のもとへ行き、イエスのなさったことを告げる者もいた。そこで、祭司長たちとファリサイ派の人々は最高法院を召集して言った。「この男は多くのしるしを行っているが、皆が彼を信じるようになる。そして、ローマ人が来て、我々の神殿も国民も滅ぼしてしまうだろう。」彼らの中の一人で、その年の大祭司であったカイアファが言った。「あなたがたは何もわかっていない。一人の人間が民の代わりに死に、国民全体が滅びない方法があなたがたに好都合だと考えないのか。」これは、カイアファが自分の考えから話したのではない。その年の大祭司であったので預言して、イエスが国民のために死ぬ、と言ったのである。国民のためばかりではなく、散らされている神の子たちを一つに集めるためにも死ぬ、と言ったのである。この日から、彼らはイエスを殺そうとたくらんだ。乃梨子「だから、刺客のユダ」
新約聖書『ヨハネによる福音書』11章
イエスがまだ話しておられると。十二人の一人であるユダがやって来た。祭司長たちや民の長老たちの遣わした大勢の群衆も、剣や棒を持って一緒に来た。イエスを裏切ろうとしていたユダは、「私が接吻するものが、その人だ。それを捕まえろ」と、前もって合図を決めていた。ユダはすぐにイエスに近寄り、「先生、こんばんは」といって接吻した。志摩子「これで、イスカリオテのユダの望みは叶ったわけね。主イエス様が捕らえられると、信じていた弟子たちも蜘蛛の子を散らしたように、主イエス様を見捨てて逃げていったわ。12使徒の一人ペトロなんて、大祭司の家でこう言ったのよ」
イエスは、「友よ、しようとしていることをするがよい」と言われた。すると人々は進み寄り、イエスに手をかけて捕らえた。
新約聖書『マタイによる福音書』26章47節〜50節
するとある女中が。ペトロがたき火に照らされて座っているのを目にして、じっと見つめ、「この人も一緒にいました」と言った。しかし、ペトロはそれを打ち消して、「わたしはあの人を知らない」と言った。少したってから、ほかの人がペトロを見て、「お前もあの連中の仲間だ」と言うと、ペトロは、「いや、そうではない」と言った。志摩子「主イエス様の弟子だなんてばれたら、自分も裁かれると思って黙っていたの」
新約聖書『ルカによる福音書』22章56節〜58節
そのころ、イエスを裏切ったユダは、イエスに有罪の判決が下ったのを知って後悔し、銀貨三十枚を祭司長たちや長老たちに返そうとして、「わたしは罪のない人の血を売り渡し、罪を犯しました」と言った。しかし彼らは、「我々の知ったことではない。お前の問題だ。」と言った。そこで、ユダは銀貨を神殿に投げ込んで、首をつって死んだ。志摩子「主イエス様が捕らえられる直前に、『友よ、しようとしていることをするがよい』と言われたことが、よほど心に響いたのね」
新約聖書『マタイによる福音書』27章3節〜5節
イエスは重ねて言われた。「あなた方に平和があるように。父が私を遣わしたように、わたしもあなた方を遣わす。」そう言ってから、彼らに息を吹きかけて言われた「精霊を受けなさい。だれの罪でも、あなた方が赦せば、その罪は赦される。だれの罪でも、あなた方が赦さなければ、赦されないまま残る。」志摩子「裏切られることを知ってたということは、自分が死ぬことを知っていたということ。復活した主イエス様は、弟子たちに対して自分の言葉をより多くに人に伝えよと言ったのね」
新約聖書『ヨハネによる福音書』20章21節〜23節