江利子「瞳子ちゃん、この鍵を持っていって、お薬味をもっと持ってきてね」
瞳子「お台所の方では、ナツメとカリンが要り用だと申しております」
蓉子「さあ、働いた！ 働いた！ 二番鶏の鳴いたし、明けの鐘も鳴った。もう三時よ」
瞳子「まあ、おせっかいな蓉子さま、さあ、さあ、おやすみなさいませ。こんな夜明かしなどなすって、本当に、明日身体にお障りなりますわよ」
蓉子「馬鹿を申しなさい。夜明かしくらい、いくらでもしたことがあるわ」
江利子「そうですとも、昔は、ずいぶん猫好きでいらっしゃいました。
でも、もう二度とそんな夜明かしは、おさせ致しませんからね、ちゃんと私が目を光らせて」
蓉子「やれやれ、妬きもち、妬きもち！」
次回……第４幕 第５場 祥子の部屋