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ゼクス・マーキス演説

 地球の世界国家は統一が平和をもたらすと言っている。まさか、元OZ総帥であるトレーズからこのような詭弁が聞かされるとは思ってもいなかった。諸君らは忘れてはいまい。かつて地球には『地球圏統一連合』という組織が存在した事を。あの愚かな組織は戦争をなくし、平和を実現しただろうか? 否! 断じて否!! 統一連合は正義と平和の名の元、我々のコロニーに攻め込んできたのである。そして、その後を継いだOZもまた同じだった。常にコロニーが攻められる対象となり続けたのだ!
 だが、戦争の根絶はもはや国家を統一するなどレベルの問題ではない。人類のあり方に帰結する問題なのだ。人類は遙かな太古、両足を大地に踏みしめた時からすでに戦いを始めていた。その長きにわたる民族間の争いが国家間の争いに変わり、有史以来何千年もの間大地を血で汚した。これは戦いを本能として持っているからに他ならない。
 では、あきらめるしかないのか? いや、そんな事はない。なぜなら、自らの本能すら乗り越える力を持つ人類が存在するからだ。諸君らはもう気付いているだろう。そう、コロニーの市民こそ闘争本能を制御し平和の実現を可能にした新たな人類なのだ。コロニーの市民は人類を拒む宇宙空間で生き続けてきた。そこで戦いなどという悲惨な行動をとる事がどれほど無意味か身をもって知っている。わかって欲しい、宇宙で生きる事が精一杯のコロニー市民は戦うことなどできないのだと。では、なぜ我々が立ち上がったのか? 戦いを望む旧人類が安定した地球に留まり、武装しない我々を支配しようとするからだ。我々人類は宇宙へと巣立ち、二〇〇年近くもたっている。もうこの辺りで争いの歴史に終止符を打つべきではないのか? そのためには地球という全ての闘争の温床を排除しなければならないのだ! むろん、我々とて無益な殺生をするつもりはない。地球から飛び出す気持ちがあるなら、どんな人間でも受け入れるつもりだ。この事をふまえ、世界国家元首であるトレーズ・クシュリナーダに再度通告する。我々の要求は地球をこの宇宙から排除する事! これが受け入れられぬ場合は、人類の最後の戦争を開始することになる!!
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