由乃「うぉーっし！ もういっちょうぉーっし！ よーし皆聞け！ お前らは、バカだ！バカだ！ バカだ！ バカだ！ バカだ！ 大バカもん野郎だーっ！ お前らの脳髄はな、まるで、おはぎのようだよ。薔薇さまの何たるか、人生の何たるかをお前らは判っているのか！？ お前だ！ お前！ お前！」
乃梨子「は、はい……」
由乃「はいじゃないよ。お前池波正太郎読んでるか？ 池波、コラ」
乃梨子「え、ええ……は、はい……」
由乃「お前、その、なんだ……いわゆる、ステディな、このステディな関係の、男子はいるのか？」
乃梨子「は、はあ」
由乃「バカ者！ あたしはな、あたしは小中学生の頃、男の子と喋れなかったんだよ。それをだな、この、お前それでも白薔薇のつぼみか！ 薔薇さまというものはな、孤独なものなんだよ。お前らは無知だ！ 無知だ！ 無知だ！ 無知だ！ 無知だ！ 無知だ！ 無知蒙昧とは、お前らの事だ！ 本当の薔薇さまとはな。本当の薔薇さまとは。本当の、薔薇さまとは。リリアン女学園の歌姫、蟹名静さまだーっ！ お前ら静さまを見習え！ お前見習ってるか静さま、オラ」
乃梨子「え？ ええ」
由乃「お前、愛は心の仕事だ馬鹿者！ そしてだな、ば……」
令「ちょっと」
由乃「なんだよ」
令「由乃何やってんの？ うるさいでしょ」
由乃「今録音してんの……。薔薇さまとはなあ、ば……」
令「夕ご飯どうすんの？ 母さん、ちょっと出かけてくるって」
由乃「うるさいなあ、もう、出てけよ令ちゃん、出てけよ……。薔薇さまとは……ば……何？」
令「今日はブラバンのレッスンは無いの？」
由乃「バンドって言えよ！ ぁぁ、薔薇さまというのは……」
令「今度私にもエレキ教えなさいよ」
由乃「うるさいな。薔薇さまとは、薔薇さまとはな……」
令「カレーがお鍋に入っているからね。チンして食べなさい、チンしてね」
由乃「判ったから今録音してんの、録音してんの……。電子レンジって言えよ！ だから、薔薇さまというのはな、薔薇さまとは、薔薇さまとは、お前、静だ！ 黒薔薇だあーっ！！」