なぜなにマリみて"ロザリオは信仰の証(下)"

乃梨子「ねえねえ、お姉さま」
志摩子「なーに、乃梨たん」
乃梨子「急にお聖堂へ呼び出したりして、何の用なんですか?」
志摩子「この前、乃梨たんにロザリオの祈りを教えようと思ったんだけど、時間が無くてできなかったから。今日改めて教えるわね」
乃梨子「それだけのために、お聖堂へ呼んだんですか?」
志摩子「そうよ。こういうのは、雰囲気が大事だから」
乃梨子「いや、教えられても……別にクリスチャンじゃないし」
志摩子「乃梨たん」
乃梨子「なんですか?」
志摩子「たまには、お姉ちゃんのお願いも聞きなさいね」
乃梨子(いつも、聞いてるじゃないですか……)
志摩子「今日は、実際にロザリオを使って実際にロザリオの祈りをやってみましょう」
乃梨子「ええー」
志摩子「乃梨たん!」
乃梨子「は、はい……」
志摩子「ロザリオの祈りとは、

十字架のしるし
使徒信経
主の祈り
天使祝詞
栄唱
ファティマの聖母の祈り
喜びの玄義
苦しみの玄義
栄えの玄義

 の9つのお祈りを唱えることをいうの」
乃梨子「それだけを聞くと簡単そうですが……」
志摩子「実際は同じことを何度も唱えたり、1つの玄義の中に5つの玄義があったりして、全部終わるまで結構時間がかかるわ。よほど敬虔なクリスチャンでない限り、毎日3環唱えることはないわね。だから、

月曜日・木曜日:喜びの玄義
火曜日・金曜日:苦しみの玄義
水曜日・土曜日:栄えの玄義

 と曜日毎に1日1環唱えるのが一般的よ」
乃梨子「確か玄義は、イエスとマリア様の生涯をそれぞれ意味しているんですよね」
志摩子「よくわかったわねえ、偉いわ」
乃梨子(だって、この前そんなこと言ってたし)
志摩子「各玄義の意味を簡単に言うとこうよ」

喜びの玄義
聖母マリアへのお告げ、聖母マリアのエリザベト訪問、主イエスの降誕、主イエスの聖殿奉献、聖殿における聖母マリアの主イエス見出し

苦しみの玄義
ゲッセマネの死苦、鞭に打たれる主イエス、茨の冠を被せられる主イエス、十字架を担う主イエス、十字架に釘打たれる主イエス

栄えの玄義
主イエスの復活、昇天する主イエス、聖霊降臨、聖母マリア被昇天、天国における聖母マリアの戴冠

乃梨子「つまり、ロザリオの祈りをするということは、毎日新約聖書のダイジェストを頭に思い描いているのと同じなわけですね」
志摩子「まあ、そういう考え方も出来なくはないわね。さて、ここからが本題よ。実際にロザリオの祈りをやってみましょう」
乃梨子「まさか、全部やるんですか?」
志摩子「さすがにそれは時間がないから、今日は水曜日だから苦しみの玄義だけね。これから、一連の手順をざっと説明するわ。まず最初に十字架のしるしね。これは、よく映画やドラマなどである十字を切るという行為のこと。もしかしたら乃梨たんも知ってるんじゃないかしら」
乃梨子「ああ、知ってます。右手を額、胸、左肩、右肩に動かして十字を作るんですよね」
志摩子「これにもちゃんと意味があるのよ。右手を額に持っていって『父と』、胸に下げて『子と』、左肩に持っていき『聖霊の』、右肩で『御名によって』、最後に手を合わせて『アーメン』と唱えるの」
乃梨子「( ・∀・)つ〃∩ ヘェー、ヘェー、ヘェー。初めて知りました!」
志摩子「次にロザリオの十字架のところを持って使徒信経

天地の創造主、全能の神である父を信じます。父のひとり子、わたしたちの主イエス・キリストを信じます。主は聖霊によって人となり、おとめマリアから生まれ、ポンティオ・ピラトのもとで苦しみを受け、十字架につけられて死に、葬られ、死者のもとに下り、三日目に復活し、天に上って、全能の神である父の右の座に着き、生者と死者を裁くために来られます。聖霊を信じ、聖なる普遍の教会、聖徒の交わり、罪のゆるし、体の復活、永遠のいのちを信じます。アーメン。

 十字架のすぐ上にある珠のところで主の祈り

天におられるわたしたちの父よ、御名が聖とされますように。御国が来ますように。みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。アーメン。

 次に3つ並んでいる珠で天使祝詞を3回。

恵みあふれる聖マリア、主はあなたとともにおられます。主はあなたを選び、祝福し、あなたの子イエスも祝福されました。神の母聖マリア、罪深い私達のために、今も、死を迎える時も 祈って下さい。アーメン。

 次の珠で栄唱

栄光は父と子と聖霊に、はじめのように今もいつも世々に。アーメン。

 その位置のままファティマの聖母の祈り

主イエズス・キリスト、わたしたちの罪をゆるしてください。わたしたちを滅びから救い、すべての人々、ことにおんあわれみをもっとも必要としている人々を天国に導いてください。アーメン。

 ロザリオの輪のつなぎ目にあるメダイのところで第一玄義。ここでは、水曜日の苦しみの玄義ね。

この一連を献げて、主がゲッセマニの園にて死するばかり憂い給いたるを黙想し、聖母の御取次ぎによりて罪を痛悔する恵みをこいねがわん。

 第一玄義を唱えたら黙想し、そのまま主の祈り。ここから先は、反時計回りに珠をたどっていくのよ。次に10個の珠1つ毎に天使祝詞を1回。次の珠までの開いているところで栄唱ファティマの聖母の祈り。これで、1連目が終了ね。次の珠から第二玄義

この一連を献げて、主がむち打たれ給いたるを黙想し、聖母の御取次ぎによりて罪を償う恵みをこいねがわん。

 この先の手順は1連目と同じ。主の祈り1回、天使祝詞10回、栄唱1回、ファティマの聖母の祈り1回で2連目終了。1連毎の手順は、玄義の違い以外は同じだから、この先玄義だけを言っていくわね。次に第三玄義

この一連を献げて、主がいばらの冠をかむらせられ給いたるを黙想し、聖母の御取次ぎによりて侮辱を恐れざる恵みをこいねがわん。

 第四玄義

この一連を献げて、主が十字架を担い給いたるを黙想し、聖母の御取次ぎによりて苦難を甘んじ受くる恵みをこいねがわん。

 第五玄義

この一連を献げて、主が十字架にくぎ付けにせられて死し給いたるを黙想し、聖母の御取次ぎによりて救霊の恵みをこいねがわん。

 最後にもう一度十字架のしるしして、ロザリオの祈りの1環目は終わり」
乃梨子「お、お姉さま……」
志摩子「なーに、乃梨たん」
乃梨子「これ、クリスチャンって毎日やってるんですか?」
志摩子「必ずしもそうとは言えないけど、敬虔なクリスチャンはしているんじゃないかしら?」
乃梨子「お姉さまは?」
志摩子「…………そうだわ、乃梨たんにあげたいものがあるの。手を出して。」
乃梨子「えっ? なに?」
志摩子「ハイ」
乃梨子「これは……」
志摩子「神父様から祝福して戴いた正真正銘のロザリオよ」
乃梨子「でも、これ、お姉さまが大事にしているものでは!?」
志摩子「いいの、これは乃梨たんに持っていて欲しいのよ」
乃梨子「で、でも……」
志摩子「これが、乃梨たんとの新しい絆になるの。妹が出来ても渡したらだめよ。約束してくれる?」
乃梨子「はい……ずっと、大事にします」
志摩子「ありがとう。さっ、もうすぐ日が暮れてしまうわ。一緒に帰りましょ」
乃梨子「はいっ」
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